Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とろ

瀞

佐藤 垢石

Leggi 瀞 (とろ) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.908 caratteri · 30 schermate

Aozora Bunko

私は、娘の手から竿を取った。そして、静かに竿を立て、徐にあしらいつつ、手許へ引き寄せて、掛かった鮎を手網のなかへ吊るし入れた。長さ七寸あまり、三十五匁はあろうと思う。

瀞場の鮎は、鈎に掛かった瞬間、微少の衝動を目印に感ずるのが、急流の鮎と異なって、鈎に掛かるや否や、男の足でも追いつけないほどの速さで、下流へ走りだしはしない。鈎に掛かった場所から遠方へは走らないで、あたかも鈎の痛さなど知らぬかのように、平然として囮と共に静かに泳いでいるが、ひとたび竿を立てて、道糸に張りをくれると、がばと驚いて騒ぎはじめるものである。そこに、瀞場の友釣りの妙趣を感ずる。

掛け鈎を丁寧に研いで、新しい囮に取り替えてから、再び竿を娘に渡した。やはり娘は、無心の姿で竿の方向は四十五度、目印は水面一寸の場所、この掟を固く守って、水際に立った。またすぐきた。

今度も、私は娘から竿を取って、掛かり鮎を手網に入れた。こうして、僅かに一時間ばかりの間に、立派な鮎を娘は七、八尾掛けたのである。さきほどから、この瀞場で釣っている三、四人の釣り師があった。どうしたものか、その釣り師たちの鈎には一尾も掛からない。