Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひのついたかかと

火のついた踵

宮本 百合子

Leggi 火のついた踵 (ひのついたかかと) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.781 caratteri · 34 schermate

Aozora Bunko

生きている間じゅう、苦しまなければならないのが、人間だ。与えられた杯なら、飲まなければならない。

英一 どうぞ、貴方もみさ子さんも傷つけるようなことはなさらないで下さい。――実際、僕は、何もみさ子さんまで……

奥平 ――(陰気に光った眼で、じろりと、臆病な英一の顔を見る)

突然、背後の植込みの蔭から、甲高く、はっきり、

みさ子の声 いやよ!

奥平、英一、思わずぎょっとするところへ、みさ子、足早に出て来る。二人を見、

みさ子 まあ、貴方もいらしったの?(嬉しそうに、奥平の方によって行く。)

直ぐ後から、谷、両手をポケットに入れ、眉を顰めて来る。

英一 (意を迎えるように)どうだね。いい花があったかい?

谷  (英一を見、奥平を見、鋭く)花なんかないよ。昔話だ!(さっさと一人で通り過ぎようとする)

英一、不決断について行こうとする。その時、ただならない奥平の声が、彼を振返らせる。

奥平 (近づくみさ子を避けるように、二三歩動きながら)――私に構わず置いてくれ!

みさ子、驚き、良人、英一、谷と、順に顔を見る。英一、頭を動してその視線を避け、見向きもせずに彼方に行く谷の後から、救いを得(もと)めるように、蹤(つ)いて行ってしまう。