Classici giapponesi con furigana
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ひなわじゅう
火縄銃
江戸川 乱歩
Leggi 火縄銃 (ひなわじゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9117 caratteri · 19 schermate
橘も一緒になって、扉を一層力強く叩き乍ら呶鳴ったが、更に目を覚ます気配もなかった。私は何だか不安になって来た。非常に不吉な事が想像された。
「オイ、どうも変だぜ。どうかしてやしないか」
私が橘にそう言うと、橘も私と同じような事を想像していたらしく、ボーイの方を振り返って言った。
「林がこの内部で寝ているのに間違いはないでしょうね」
「エエ、それはもう――何しろ内部から鍵もかかっていますし」
「合鍵は他にないですか」
「ございます。持って参りましょう」
「これ程叩いても起きないのは、ただ事でない様です。兎も角、合鍵で開けて中の様子を見てみましょう」
そこで、ボーイは引返して母屋から合鍵を持って来た。
扉が開かれると、真先に橘が飛び込んだが、入口の真正面の壁際に据えてある寝台の方へつかつかと駈て行った橘は、そこで棒立になり「呀ッ」と微な叫びを洩した。
寝台の上には、上衣を脱いだ胴衣一枚の林一郎が、左胸に貫通銃創を受けて横たわっていた。生々しい血潮は、胴衣から流れて白いシーツを紅に染め、まだ乾ききらず血の匂いを漂わしている。私はこの意外な林の姿を見ると、もう何を考える力もなく、なかば放心の態で、ボンヤリ橘の動作を見まもっていた。