Classici giapponesi con furigana
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えぼしだけのちょうじょう
烏帽子岳の頂上
窪田 空穂
Leggi 烏帽子岳の頂上 (えぼしだけのちょうじょう) di 窪田 空穂 (くぼたうつぼ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7432 caratteri · 15 schermate
「薬師! 何て大きいでしょう!」と感嘆の声を放って見とれていたのが思い出される。その時の薬師には、夕雲のちぎれがまつわり付いていた。今は、一ひらの雲もとどめない、輝きを含んだ青空の前に、その全部をあらわしている。それは茶色をもった岩山である。誠に、大きいといって形容する外、云い方のない山である。限りなく襞をもった、襞毎に雪渓をもった山である。襞と雪渓とは、互に輝き合って、一部一部変化を保ちつつ、全体としては強い落ちつきと安らかさをもった山である。
私の眼は、これから向って進んでゆくべき山脈のほうへ移った。
それは薬師をもった山脈と、燕、常念などをもった山脈とのあいだに挟まって、一万尺に近い峰の幾つもをもって、遠く南へとうねり伸びている山脈である。私たちの踏んで行くのは、その両側に何千尺と、千尺を単位にして数えるべき谿谷をもった、高まりつくした頂上を貫いている一線の上である。
「野口五郎は何れだろう? 赤岳は?」と心のうちで思った。それは二つとも今日越すべき山である。だが私の眼にはいって来るのは、茶いろに輝いている山肌が、そのところどころに黒い色を斑らにまじえて、高く低くうねっているだけである。