Classici giapponesi con furigana
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むけいとうコレラ
無系統虎列剌
夢野 久作
Leggi 無系統虎列剌 (むけいとうコレラ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7738 caratteri · 16 schermate
「まあ……どうして御存じで……主人はいつも御酒を頂きますたんびに重曹と、酒石酸を用いましたので……そうしないと二日酔をすると申しまして、御酒を頂きますたんびに……」
「それは夜中にお眼醒めになった時に、お一人でコッソリなさるのでしょう」
後家さんはイヨイヨ驚いたらしく眼を丸くしたよ。
「……まあ……よく御存じで……」
「その酒石酸の瓶をチョット拝見さして頂けますまいか」
「ハイ。この瓶で御座います」
といううちに後家さんは立上って、玄関横の薬局から白の結晶の詰まった茶色の瓶を持って来た。経一寸五分ぐらい、高さ三寸程……ちょうど西木家の吐酒石酸の瓶ぐらいの横腹に白いレッテルが貼ってあって、酒石酸と活字が三個右から左に並んでいる。後家さんは、それを吾輩の前に据えて、感慨無量という体で眼をしばたたいた。「これが何か、お調べのお役にでも立ちますので……」と云われた時には吾輩、気の毒とも何とも云いようがなかったね。
「イヤナニ……別に……ちょっと参考まで……」
と云って逃げるように斎藤家を辞して往来に出るとホッとしたもんだが、返す返すも馬鹿馬鹿しい話さね。
普通の内科医の処に在る吐酒石酸の瓶を見て見たまえ、高さ一寸かソコラの小さなものだ。