Classici giapponesi con furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate
「誰か。」
「――――」
「番頭か、酒を持ってまいったのか。」
「へえ、さようで。」佐吉が答える。「お酒を持ってまいりましたんで。」
「うむ、待っていたぞ。」
さっと両方から、佐吉と大次郎が二枚の障子に手を掛けて左右へ開く。
床柱を背に、胡坐をかいた出羽と、縁に立った大次郎と佐吉と、六つの眼がぴたと合った。
気を失った千浪は、美しい人形のように座敷の隅に俯伏したまま動かない。この酔美人を肴に一献傾けようとしていた出羽守は、思いきや自分と同じ服装の白の弥四郎頭巾が、ぬっくとそこに立ちはだかっているので、大刀を膝に引き寄せるが早いか、じりっと膝の向を大次郎の方へ寄せて、声は、冷たい笑いを含んでいた。
「何じゃ、その装いは、わしの真似をして茶番でもしようというのか。」
「そちこそ何者じゃ。」
大次郎はそう鋭く呼びかけながら、ずかりと部屋へはいって来た。そして、腰の女髪兼安の柄に手を掛けながら、頭巾のなかの眼を怒らせて、出羽守を睨み下ろした。
「お前はいったい何者だ。何のために余と同じ服装をして、こうして江戸の町を彷徨しておるのか。余が誰であるか、そちは存じておるのか。