Classici giapponesi con furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate
辛く当ったおれを、こうして探し歩いてくれるのだ。江上、察してくれ。」
その大次郎の心中を思って、江上佐助の文珠屋佐吉、隠れ名、煩悩小僧は、その生まれながらの醜い顔に涙を浮かべたのだったが、ややあって大次郎は、
「だからおれは、もう一度風に吹かれて街をさ迷う。千浪は道場へ帰ってもいたし方あるまい。どうだ、佐吉、迷惑は重々察するが、しばし千浪をこの家に預ってはくれまいか。」
言われた時に佐吉は、あんなに恋い焦れていたこの千浪が親友伴大次郎のれっきとした妻であったことを知ると同時に、隠しようもない失望と共に、また、この大次と千浪のためにできるだけのことをしようという、清い新しい決心が湧いて来て、
「承知した。千浪さんのことは、おれが引き受けたから、安心していてもらいたい。」
「大次郎さま! 大次郎様!」
意識を取り戻そうとして、まだ千浪は、夢の境からハッキリ覚めきらないと見える。
その時室内から、良人を呼ぶ彼女の声が細々と、二人の耳へ洩れて聞えて来る。
その己が身を慕って呼ぶ恋妻千浪の声を聞いた時に、それを振りきって出て行こうとする伴大次郎の心は、どんなであったろう!