Classici giapponesi con furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate
今はもう生きておりますかどうか――。」
「えっ! お姉さまが!――まあ、そんなことまであったのでございますか。」千浪は、痛ましげに父に眼を移して、「でも今まで何年も道場にいらしって、そういうお身の上のことは少しもお話し下さらなかったことを思うと、なんでございますか、ねえ、お父さま、ほんとに水臭いような――。」
桃の七年
千浪のことばも耳に入らないらしく、大次郎は、物の怪のついたような静徹な声だった。
「その姉を奪い返そうとして、父は単身行列へ斬り込んで一寸刻み――膾のような屍骸でした。今も、眼のまえに見えるようです。」
「あの、お父うえが――。」
叫ぶようにいって、千浪は、法外と眼を見合わせる。
法外は、ううむと唸っただけだった。膝に話しかけるように、うつむいたまま大次郎は語をつないで、
「そのため母は、遠州相良の空を白眼んで、自害してはてました。」
千浪も法外も、うな垂れるばかり――言葉もない。
ややあって法外は、顔を上げ、
「その出羽守の暴状を、公儀へ訴え出る途もあったであろうに、なにゆえしかるべき当路者へ、差し立て願いに及ばんだのかの――上も、それだけの狼藉ぶりを耳にしては、そのままに打ち捨ておくわけにはゆかんはずだが。