Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate

Aozora Bunko

「ぷっ! かほどまでに変っておろうとは!」

庭石に、はったと金盥を投げ棄てた法外。

――その夜である。彼が道場をも妻をも捨てて家出したのは。

白絹の紋つきに白の弥四郎頭巾。女髪兼安を腰に。

この時から、江戸の巷に、二人の祖父江出羽守が彷徨することになった。

風過ぎ雁去って

一つには、この自分――千浪のために、また父法外の仇敵である、あの弥四郎頭巾の一団とお花畑で渡り合って、全身満面に刀痕を受けた伴大次郎、改め二代法外である。相変りのしたのも自分のせいと思えば、その恐ろしい顔も、千浪は、眼に入らなかったのだが――。

金創十字に斬り苛まれた醜い容貌は、忍ぶ。

忍ぶどころか、何もかもこの弓削家のためにと――、もったいなくさえ思って、ひそかに蔭で、良人大次の背へ手を合わして来た千浪ではあったけれども――その顔とともに性格まで一変した大次郎を、千浪、どうしても愛することはできなかった。

彼女の悩みは、そこにあった。

人間というものは、顔によって、こんなに気質が変るものであろうか。その物凄い相貌のままに、まるで鬼のような心になった伴大次郎――伴法外を、千浪が、愛そうとして愛し得なかったのに無理はないのだった。