Classici giapponesi con furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate
御微行――どころか、身分を隠しての逗留なので、江戸を出てから帰るまで、ああして白の弥四郎頭巾に、すっぽり面体を押し包んで。
内に猛り狂う煩悩を宿し、外に、おのれを仇とつけ狙う三つの煩悩の鬼ありとも知らず、祖父江出羽守、千浪のやさしい顔姿に煩悩の火を燃やした末、弓削法外先生を討ち果たし、二重に、伴大次郎に、かたきとつけ廻されることになった。
奇しき因縁――とは言っても、伴大次郎、無論あの白の弥四郎頭巾を祖父江出羽守とは知る由もなかった。
一方、出羽の屋敷を逃れ出た小信は――。
怖いもの知らず。
殿様に斬りつけた時から、可哀そうに小信、すでに狂っていたに相違なく、とにかく、跣足で街に走り出た彼女は、もう立派にたましいの抜けた残骸だった。
活けるしかばね――となって、あれからこっち、材木置場や町家の檐下で、寺社の縁などに雨露をしのいで江戸の町まちを当て途もなしにほっつき歩き、きょうこうしてはからずもお多喜の眼に触れて、その宗七の家へ引き取られたという仔細。
が、この三月まえの出来事はもとより、七年来の悲しい歳月は、いま小信の意識の底に埋められているだけで。