Classici giapponesi con furigana
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ねつ
熱
宮本 百合子
Leggi 熱 (ねつ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2235 caratteri · 5 schermate
いやな事だ。
けれ共、どうも仕様がない。
私はきっと、顔中しわだらけになって、手が力がなくなって、いつでも眼に涙がたまって居る様になって、自分で自分の活きてる事が分らない様になると死ぬんだろう。
その前でも、私が大病になって馬鹿にでもなる様だったら、却って、死んだ方が私の幸福だけれ共……。そう思いつづけて居ると、一寸の間に馬鹿になった私の様子が目の前にうかんで来る。
まだ確かだった時に、丸をつけたり線を引いたりして、夢中になって読んだ本の中に座り込んで、あの、白痴特有のゲタゲタ笑いをしながら、書いたものを文庫から引きずり出しては、ベリベリ……ベリ……と、引き裂いて居る。
母は、急に足りなくなった一人っきりの娘のわきにつききりになって、涙ながらに膝をちゃんと座らせたり、破ろうとするものをとったり、変に笑うのをやめさせ様として居る。
その様子をじいっと考えて居ると胸が一杯になって来る。
ほんとに可哀そうだ。
と云う気持が、母に対してでもなく、自分に対してでもなく突いて走って来る。
こんな時は、その事が実際、もう今ここで見られる事の様な気になって、声までたてそうにして、私は泣いて仕舞う。