Classici giapponesi con furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Leggi 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.309 caratteri · 144 schermate
ところに二つばかり小さな部屋があるのだが、その一つのなかへ私たちを導き入れた。
そんな奥まった小さな部屋へはいると、いきなりT君が仏蘭西の何処とかの田舎で泊ったことのある古い旅籠の部屋にそれがそっくりだと言い出したので、私もそうかなあと思いながら、そこにある古ぼけた寝台だの、いやに大きな鏡ばりの衣裳戸棚だの、剥げちょろな鏡台だの、小さなナイト・テエブルだのを眺め廻しているうち、それがいかにもそんな外国の片田舎にありそうな旅籠屋のような気がしだした。そしてこの悲しげな部屋がいまの私の心に不思議なくらい似つかわしいように思えた。
その小さな部屋が朝飯つきで一泊三円だという。そこで私はともかくも十円札を一枚だけ渡しておいた。そうすると、その時までともすると、小さなトランクひとつ持っていない私たちを妙に不安そうな眼つきで見がちだった、すこし頭の禿げたその主人は急にそわそわし出したように見えるくらい愛想よくなって、私の方を向きながら、それではお前もこちらにクリスマスを送りに来たのかなどと問い出した。私はまた私で、やがてその主人のかかえてきた大きな宿帳に、露西亜人や波蘭人らしい名前ばかりの並んでいる下へ自分の名前をぶきっちょな羅馬字で書きつけているうちに、クリスマスなんかを一向楽しいとも思ったことのない私であったが