Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Leggi 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.309 caratteri · 144 schermate
そとは月夜らしく、その閉じた窓の隙間から差しこんでくる月光が彼のベッドのまわりの床の上に小さい円い斑点をいくつも描いていたが、それはまるで彼自身がそこへ無神経にしちらした痰のように見えた。そういう変な光線のなかで、彼はふと彼の枕もとに誰かがうな垂れているらしいのに気づいた。ああ、Aが来てくれたな……(その瞬間Aがだれか別の人間に変ってしまった)……おお、Bだったのか、すまないな、Aとまちがえて。……おや、君はBでもないね、Cだったのかい……そんな風に、彼の枕もとにうな垂れているのは一人の男きりだったが、その男が誰だかやっと見当がつきそうになると、それはすぐ他の男に変ってしまった。相手の男がいつのまにか他の男に変っているようなことは、どんな夢にもよくあることで、そういう不思議な変化も大概の夢ではきわめて自然に感じられるものである。それが彼のその時の夢ではそう行かなかった。その不思議な変化がどこまでも不思議で、その上それが一種の凄気のようなものをさえ感じさせるのだった。……そんな具合に彼が彼の知っていると思われるあらゆる友人たちを代る代る夢に見つくしてしまった時分になって、彼は漸っとその一見何でもないような、それでいてこの頃の彼の夢の中では、最も彼を苦しませたところの夢から自由にされた。