Classici giapponesi con furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Leggi 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.309 caratteri · 144 schermate
その魚住らしい男はとうとう立上った。そして何も云わずに暗がりの中で荒あらしい音を立てながら、寝室を出て行った。その足音が遠のくと、私は三枝に、
「僕は喉が痛いんだ……」とすこし具合が悪そうに云った。
「熱はないの?」彼が訊いた。
「すこしあるらしいんだ」
「どれ、見せたまえ……」
そう云いながら三枝は自分の蒲団からすこし身体をのり出して、私のずきずきする顳の上に彼の冷たい手をあてがった。私は息をつめていた。それから彼は私の手頸を握った。私の脈を見るのにしては、それは少しへんてこな握り方だった。それだのに私は、自分の脈搏の急に高くなったのを彼に気づかれはしまいかと、そればかり心配していた……
翌日、私は一日中寝床の中にもぐりながら、これからも毎晩早く寝室へ来られるため、私の喉の痛みが何時までも癒らなければいいとさえ思っていた。
数日後、夕方から私の喉がまた痛みだした。私はわざと咳をしながら、三枝のすぐ後から寝室に行った。しかし、彼の床はからっぽだった。何処へ行ってしまったのか、彼はなかなか帰って来なかった。
一時間ばかり過ぎた。私はひとりで苦しがっていた。