Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばくだんたいへいき

爆弾太平記

夢野 久作

Leggi 爆弾太平記 (ばくだんたいへいき) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.653 caratteri · 98 schermate

Aozora Bunko

傍を見ると船長が吾輩と同じ恰好でボンヤリと突立っている。肩をたたいて見たが、唖然として吾輩を振り返るばかりだ。船橋の下の光景に気を呑まれていたんだろう。

吾輩はその横で背広服を脱いで、メリヤスの襯衣とズボン下だけになった。メリヤスを一枚着ていると大抵な冷めたい海でも凌げる事を体験していたからね。それから船橋の前にブラ下げて在った浮袋を一個引っ抱えて上甲板へ馳け降りた。船尾から落ちた連中を救けて水舟に取付かせてやるつもりだった。それからボートの前の連中を整理して狼狽させないようにしようと思い思いモウ一つ下甲板へ馳け降りると、その階段の昇り口の暗い処でバッタリとこの船の運転士に行き会った。よく吾輩の処へ議論を吹っかけに来る江戸ッ子の若造で、友吉とも心安い、来島という柔道家だったが、これも猿股一つになって、真黒な腕に浮袋を抱え込んでいた。

「……あっ……轟先生。ちょうどいい。一所に来て下さい」

と云ううちに吾輩を引っぱって、客室の横の階段から廊下伝いに混雑を避けながら、誰も居ない船首へ出た。その時に非常汽笛がパッタリと鳴り止んだので、急に淋しく、モノスゴクなったような気がしたが、そこで改めて来島の顔を見ると、眼に泪を一パイ溜め、青い顔をしている。