Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちち
父
矢田 津世子
Leggi 父 (ちち) di 矢田 津世子 (やだつせこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.168 caratteri · 38 schermate
「いいえ、そうしたものよ。あなただっていまに分ります」
姉の悟り切った強腰なもの云いに紀久子は少時気圧された。そのまま黙りこんだ自分が少々忌々しくもあるが年齢でものを云われては勝負にならぬ、とこっそり舌を出し、それで腹いせをした気になった。
姉は新潟のおきえさんの話をした。おきえさんならお父様のお気にいりだし、とつい口をすべらせて少し赤くなった。そして窓の方へ眼をやりながら続けた。お父様は気難しいからわたしたちで探そうと思っても仲々適当なひとがみあたらない。おきえさんなら家との旧い馴染みだし、お父様の気心をよく呑みこんでいなさるしするから家のものにとってもこれ程結構な話はないと思う。――姉はこんな意味のことを静かに話した。姉の話は控え目で、あくまでも子として年老いた父を想う心情から発動している熱心さが感じられた。紀久子は動かされた。だが、少し経ってから、動かされたと思ったのは自分の顔だけだと気付いた。
姉の話はよく分る。父の気もちも分らぬではない。けれど、それを素直にうけいれる事が何故か自分には出来ない気がするのだ。父ははなからおきえさんを家へいれたがっている。