Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうかしあかちょこべえ

狂歌師赤猪口兵衛

夢野 久作

Leggi 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.418 caratteri · 79 schermate

Aozora Bunko

思わずつぶやいた。

「おらん。このサ中に何処へ行たもんじゃろか……あの朝寝坊が……」

それから毎日のように晴れ続いた福岡博多の狭い町々に、蔵元屋の騒動の噂が隈もなく行き渡ってしまった三日目……三月十三日の正午下り。春も闌の遅桜、早桃が見渡す限りの筑紫野の村々に咲き乱れて、吾れ勝ちに揚る揚雲雀も長閑な博多東中洲の野菜畑の間を縫うて行く異様な二人連れがあった。

先に立って行くのは二十四、五のスラリとした若い男。色の黒い、眉の濃い、眼の鋭い、それでいて何処となくイナセな体構えが、箱崎縞に小倉帯、素足に角雪駄、尻端折に新しい手拭で頬冠りをしている。当時、福岡の種子屋六兵衛老人と並んで、博多随一と呼ばれている捕物上手の目明、良助。

あとから跟いて行くのは乞食体の不快な臭気のする老爺。大酒飲みと見えて顔色が赤ぼったく垂弛んで、両眼の下瞼がベッカンコーをしたように赤く涙ぐんでいる上に、鼻の頭がテラテラと赤熟れになっている処は、何がかなしに人を馬鹿にした面構えである。月代と鬚は近頃剃ったものらしいが、何を使ってどうして剃ったものか、アチコチに切込疵だらけで、ところマンダラに毛が残っているのが、ホコリだらけの町人髪。