Classici giapponesi con furigana
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きつね
狐
山本 周五郎
Leggi 狐 (きつね) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8471 caratteri · 17 schermate
「なんだ、どうした」若い番士の驚きのこえを聞いて、みんなぎょっとしながらふりかえった、そして、かれが窓のそとを指さしているのを見て、おっとり刀でそっちへ駈けつけた、「火のたまが、……あんなところに火のたまが」うす赤く丸い火が、ゆらゆらと闇の高い宙にゆれていた。ひとりがすぐ気づいて「拝郷どのだ、さっきの提燈だ」みんな眼を見交した。「なにかあったのだ」そして提燈が見えたらすぐ来て呉れと云った言葉がかれらの頭に甦った。
「……ゆこう」けしかけられたような調子で、誰かがそう叫んだ、その調子がみんなをうごかした、かれらは合羽を頭からかぶり、はだしのまま豪雨のなかへとびだしていった。
乙次郎は三重の階段口にいた。階段へさしだしている提燈の光が、顎から逆に照らしているので、乙次郎の顔はひどく異常なものにみえた、「ご足労をかけました」かれは右手に、抜いたかたなを持っていた。
「なにかあったのですか」
「……斬りました」えっというふうにみんなが息をつめた。乙次郎はかたなにぬぐいをかけて鞘へおさめながら、すっかり落ち着きをとりもどしたこえで云った、「そこに坐っていると、またいつものように階段を登って来る跫音がきこえました、知らぬ顔をして黙っていると、なにものかうしろへ忍び寄るようすでした、それで抜き打ちに一刀あびせたのですが、そこ