Classici giapponesi con furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Leggi 猟奇の果 (りょうきのはて) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 134.971 caratteri · 270 schermate
一軒の薄暗いみすぼらしいバーが目についたので、そこへ入って行った。
熱燗を頼んでグビグビやりながら、隅の方を見ると、一人の洋服青年が、こちらに顔を向けて、ニヤニヤ笑っていた。外に客はないので、変だなと思って、混乱した頭をいじめつけて、記憶を呼起している内に、ハッと思い出した。いつか浅草公園の藤棚の下で出逢った、美しい若者だ。この辺を根城にしている不良青年かも知れない。
「アア、又御目にかかりましたね」
云いながら、青年は立上って、彼の隣に席を換えた。
「お相手しましょうか」
「ウウ、やり給え。僕はね、今日は非常に嬉しいことがあるんだよ。ネ、君、歌おうか」
「でも、あなたは些とも嬉しそうじゃありませんよ」青年が意味ありげに云った。「それ所かひどく屈託そうに見えますよ。あなたお酒でごまかそうとして在っしゃるのでしょう」
「で、僕の顔に、今人殺しをして来たとでも書いているのかい」
愛之助はやけくそな調子で云って、ゲラゲラと笑った。
「エエ存外そうかも知れませんね」青年は平気である。「だが、そんなことはなんでもないんですよ。僕、人殺しなんかより、十層倍も恐ろしいことを知っているんです。