Classici giapponesi con furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Leggi 猟奇の果 (りょうきのはて) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 134.971 caratteri · 270 schermate
もうボツボツ避寒の季節だから、上京でもあるまいと二の足を踏んだけれど、虫が知らすというのか、何となく東京の空が恋しくて、つい上京してしまった。その滞京中の出来事である。
歳末の飾り美々しい銀座街の夜を一巡歩いて、
「こんな、つまらない町へ、毎晩散歩に出掛けてくる青年少女諸君もあるんだなあ」と今更ら不思議に感じながら、併し、猟奇者青木愛之助は、その裏の方の小暗い隅には何かしら隠されている様な気もして、未練らしく横町を暗い方へ暗い方へとさまよって行った。
とある裏町を歩いていると、ふと目についたのは一軒の小さなカフェである。目についたと云っても、決してその家が立派であったり、賑かであったり、その外の目立つ特徴があった為ではない。表通りの名あるカフェに引きかえて、余りにも淋しく、陰気で、影が薄かったからだ。
ひどくしょんぼりしている有様を可哀想に思ったので、愛之助は何という事もなく、ツカツカとその家へ這入って行った。十坪程の土間に、離れ離れに三四脚のテーブルが置かれ、常緑樹の大きな鉢植えが、その間々に、八幡の藪不知の竹藪の感じで並んでいる。キザな流行の赤や紫にしている訳ではないが、電燈は蝋燭の様に、というよりも寧ろ行燈の様に薄暗く、シーンと静まり返って、一人の客もなければカウンターに給仕の姿も見えぬ。