Classici giapponesi con furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Leggi 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.020 caratteri · 131 schermate
庄造はもう、袋の中のアンパンをみんな食べてしまった。そしてさっきから一時間半ぐらいは経ったような気がするので、だんだん家の方の首尾が心配になって来た。母親だけなら面倒はないが、福子が先に帰って来ていたら、今夜一と晩じゅう寝かして貰えないで、痣だらけにされる。それもいいけれども、又明日から監視が厳重になる。だが、一時間半も待つあいだに微かな啼きごえも洩れて来ないのは、何だか変だ、ひょっとしたら、この間からたびたび見た夢が正夢で、もうこの家にいないのではないか。さっき魚を焼く匂がした時が一家の夕飯だったとすると、リリーもあの時何かしら与えられるであろうし、そうすればきっと草を食べに出て来るのだが、来ないのを見るとどうも怪しい。………
庄造は、とうとう怺えきれなくなって、雑草の中から身を起すと、裏木戸の際まで忍んで行って、隙間へ顔をあててみた。と、階下はすっかり雨戸が締まっていて、子供を寝かしつけているらしい初子の声がとぎれとぎれに聞えて来る外には、何の物音もしない。二階のガラス障子にでも、ほんの一瞬間でいいからさっと影が写ってくれたらどんなに嬉しいか知れないのに、ガラスの向うに白いカーテンが静かに垂れているばかりで、その上の方が薄暗く、下の方が明るくなっているのは、品子が電燈を低く下して、夜作をしているのであろ