Classici giapponesi con furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Leggi 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.020 caratteri · 131 schermate
「何処ぞ、その辺にいてしまへんか。」
「そない思うて、僕この近所うろうろして、もう二時間も彼処に立ってましてんけど、ちょっとも出て来よれしまへんねん。」
「そしたら、二階にいてるかしらん?」
「品子もう直ぐ戻りまっしゃろか? 今頃何処へ行きましたんや?」
「ほんそこまで仕立物届けに。―――二三丁の所だすよって、直ぐ帰りまっせ。」
「ああ、どうしよう、ああ困った。」
そう云って仰山に体をゆすぶって、地団駄を踏みながら、
「なあ、初ちゃん、頼みます、この通りや。―――」
と、手を擦り合わせて拝む真似をした。
「―――後生一生のお願いだす、今の間に連れて来とくなはれ。」
「会うて、どないしやはりまんね。」
「どうもこうもせえしまへん。無事な顔一と眼見せてもろたら、気が済みまんねん。」
「連れて帰りはれしまへんやろなあ?」
「そんなことしまっかいな。今日見せてもろたら、もうこれっきり来えしまへん。」
初子は呆れた顔をして、穴の明くほど庄造を視詰めていたが、何と思ったか黙って二階へ上って行って、直ぐ段梯子の中段まで戻って来ると、
「いてまっせ。―――」
と、台所の方へ首だけ突ん出した。
「いてまっか?」