Classici giapponesi con furigana
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ねこまち
猫町 他十七篇
萩原 朔太郎
Leggi 猫町 他十七篇 (ねこまち) di 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.483 caratteri · 58 schermate
彼は蜆のような黒い瞳をして、いつものようにじっと夫人を見つめていた。夫人は再度拳銃を取りあげた。そして前よりももっと近く、すぐ猫の頭の上で発砲した。だが煙の散った後では、依然たる猫の姿が、前と同じように坐っていた。その執拗な印象は、夫人を耐えがたく狂気にした。どんなにしても彼女は、この執拗な黒猫を殺してしまい、存在を抹殺しなければならないのだ。
「猫が死ぬか自分が死ぬかだ!」
夫人は絶望的になって考えた。そして憎悪の激情に逆上しながら、自暴自棄になって拳銃を乱発した。三発! 四発! 五発! 六発! そして最後の弾が尽きた時に、彼女は自分の額のコメカミから、ぬるぬるとして赤いものが、糸のように引いてくるのを知った。同時に眼がくらみ、壁が一度に倒れてくるような感じがした。彼女は裂けるように絶叫した。そして火薬の臭いの立ちこめている、煙の濛々とした部屋の中で、燃えついた柱のようにばったり倒れた。その唇からは血がながれ、蒼ざめた顔の上には、狂気で引き掻かれた髪の毛が乱れていた。(完)
附記。この物語の主題は、ゼームス教授の心理学書に引例された一実話である。