Classici giapponesi con furigana
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ねこまち
猫町 他十七篇
萩原 朔太郎
Leggi 猫町 他十七篇 (ねこまち) di 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.483 caratteri · 58 schermate
下
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戦争がすんでから、重吉は故郷に帰った。だが軍隊生活の土産として、酒と女の味を知った彼は、田舎の味気ない土いじりに、もはや満足することが出来なかった。次第に彼は放蕩に身を持ちくずし、とうとう壮士芝居の一座に這入った。田舎廻りの舞台の上で、彼は玄武門の勇士を演じ、自分で原田重吉に扮装した。見物の人々は、彼の下手カスの芸を見ないで、実物の原田重吉が、実物の自分に扮して芝居をし、日清戦争の幕に出るのを面白がった。だがその芝居は、重吉の経験した戦争ではなく、その頃錦絵に描いて売り出していた「原田重吉玄武門破りの図」をそっくり演じた。その方がずっと派手で勇ましく、重吉を十倍も強い勇士に仕立てた。田舎小屋の舞台の上で重吉は縦横無尽に暴れ廻り、ただ一人で三十人もの支那兵を斬り殺した。どこでも見物は熱狂し、割れるように喝采した。そして舞台の支那兵たちに、蜜柑や南京豆の皮を投げつけた。可憫そうなチャンチャン坊主は、故意に道化けて見物の投げた豆を拾い、猿芝居のように食ったりした。それがまた可笑しく、一層チャンチャン坊主の憐れを増し、見物人を悦ばせた。だが心ある人々は、重吉のために悲しみ、眉をひそめて嘆息した。