Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 120.583 caratteri · 240 schermate
朝八時すぎにこうした手紙をかきはじめるというようなことは珍しゅうございます。けさ八時に国が富士というところへゆくために出発したのでこんな時間が出来ました。
きのう(三十日)帰りに三丁目から南江堂へまわりました。あのひろい間口の店が半分だけになっていて、本と云えば全くあの棚にチョビリこの棚にチョビリで埃だらけの台に雑誌が並んで居ります。衛生の部には工場能率増進についての本が二三冊、営養関係の本と申せば乳幼児に関するものだけ。お話の外です。国民服を着て奥で喋っている男に訊いたら曰く「さアわかりませんな、この頃ちっとも扱いませんから」そこで別送の雑誌一つ買って一円七銭のところを五十銭出したら突かえして「こまかいのありませんか。雑誌なんかおことわりしたいんですから」という挨拶です。びっくりしてしまいました。自信がないのね。医者の本を扱っているくせに学問の恒久性というものがちっとも分っていず、商売のつまらなさでくさっているのね、こんな代表的な本やでこんな人間が今の時期店番をしているということは一つの恥辱の感じがしました。本を買いたい人は、呉服屋へ行くのじゃあるまいし、熱心に探求心をもっているのですから。