Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 374.755 caratteri · 745 schermate

Aozora Bunko

三月十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

三月十一日  第二十一信

九日づけのお手紙をありがとう。くりかえしてよみ、心からの good wishes を感じ、ありがたく思います。作品のことについてここにふれられていること、そして又お会いしたとき云われた点、いろいろ深い興味と現実の諸問題をふくんで居て、反芻の味と必要とがあると思われます。

主題のことにふれては、全くそう思います。そのことは自然その題材に向ったときに面したことでしたが、私の心持のやまれぬ動きからどうしても書きたくてね。昨年後半からこの頃にかけての私の内的な状態では、この題材や主題のように、心をつかんでいるもの、書きたさに溢れる心持のものを先ず書いてゆくことの必要さを感じていたので、ほかにふり向けなかった。こういう心理は面白いものであると思います。底の粒々に一つずつふれてゆくように、この作品を書いてしまわなければ、自分の心の新しいありようが自身にたしかめられないというか、沈みたいと思うと石を抱くような、というか何かそういう必然の欲求が、こういう全く心臓に響いているものをつかませたわけです。