Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 374.755 caratteri · 745 schermate

Aozora Bunko

四月二十三日  第三十五信

野原の小母さままだいらっしゃらない。二階で勉強していると、お母さんが上っていらして、これをお土産にどうだろうと、女のつかう胸からかける前かけをおひろげになった。純綿だが、と。ああこれは大変いい思いつきで皆よろこびます。咲枝、寿江、ひさ、みんな一枚ずつ頂くことになりました。一枚、1.30。東京に木綿のはなくて皆ほとほと閉口していますから。お母さんおみやげを心配なさるから、こちらの例のいりこ(これは決して東京では手に入りません)、ういろう(太郎と目白に下さる由)、それにこのかっぽう着。なかなかやっぱり気づかわれます。でもまあこれもいいでしょう。

おや? 下でどうも賑やかになって来た。小母さまらしいこと。でも呼び出しがかかる迄ねばっていよう。ほら、上って来た、冨美公。きのうチブスの予防注射をしたら腕が痛くて熱が出て、けさ早くは出られなかった由。

御寿司の御馳走が出来るそうで台所は大活況を呈している。私は冨美子と喋りながら、縫いもの。あなたの寝間着。今にもっと暑くなって、その白地に格子のねまきが届いたらどうかよく覚えていらして、体のまわりを横に縫われている線を触って下さいまし。