Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 374.755 caratteri · 745 schermate
そして、今日までの歳月の意味が一層つきぬ味で翫味されます。ここにふくまれているような、精神のきめ濃やかな人間の美を、人間のエリットのもつ壮重な美しさを、どういう芸術によってあらわし得るでしょうか。強壮な正しさが美と一致する極致を一生のうち、実感のうちに経験し得る芸術家は、まさにそのためには十年の生命をちぢめても冥加と思う。ユリは、女としてそして芸術家として、自分の生涯にめぐり来った様々の美しいもの、感動すべきものに、この数年の間新しい宝を見出して来て居ると思って居りますが、この頃は、それらの宝のよって来る鉱脈が塵埃をはねのけておのずから輝き出して来た観があって、実に名状しがたい心持です。よろこびと悲しみとに打ちふるえる。美しさを見るよろこび、美しさへの感歎きわまって悲しみに合致する心。私たちの生命の絃は何と微妙にはられているでしょう! 何と説明しがたい諧調で顫律するでしょう。私たちの生活のうちにはいろいろな愛すべき二重奏がありますけれども、そういう花飾りのような一つ一つの諧調を浮かせつつ流れるものは、耳を傾けつくして、なおつきない脈動のつよい流れです。