Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たまとりものがたり

玉取物語

久生 十蘭

Leggi 玉取物語 (たまとりものがたり) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9495 caratteri · 19 schermate

Aozora Bunko

かくて刀をとりはじむ。

静海、刀をおろし、陰茎の脇、ふぐりの右の方を五六寸も截割りたりとか。おのれにはただ冷水を注ぐかと思われぬ。この時、午の刻の鐘きこえけり。さて、今は切りたる中を開きて見定むるなるべし。時として身のうちに響くこともありけれど、左のみ痛しとも堪えがたしとも思われず、折々、水注ぎ洗うが冷々と覚えらる。人々、さまざまに計らいて精系を糸にて結びたるときは、命の限りとばかりにて、腹の中の物を差入れらるる心地ぞせられける。ほどなく切捨てたるにや、その心地も直りぬ。

扨、あしき玉を取り出すとて、左右は纒いたる筋を切るに、二度三度は響きつれど、なにばかりの事もなし。明暮れ心にかかり、片時も忘れざりし根を断ち、玉をぬき出したるなれば、たとえんにものなく、清々しくおぼえける。今は更に、千歳の命、継ぎたりと心の落居たるにや、疵口を縫いつくろう折、仲々、堪えがたくて人々に笑われたりき。このとき全く日暮れたり。

とり出したる玉を見るに、少し裏平みて、長きところ五寸余り、幅は四寸ばかりにて、ところどころ高低ありて形を失い、裁ち割りて見るに、玉の性変じていたく色も乱れ、いまや腐れ出ずべきさまなり。