Classici giapponesi con furigana
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ことのそらね
琴のそら音
Leggi 琴のそら音 (ことのそらね) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.985 caratteri · 42 schermate
「君は不相変勉強で結構だ、その読みかけてある本は何かね。ノートなどを入れてだいぶ叮嚀に調べているじゃないか」
「これか、なにこれは幽霊の本さ」と津田君はすこぶる平気な顔をしている。この忙しい世の中に、流行りもせぬ幽霊の書物を澄まして愛読するなどというのは、呑気を通り越して贅沢の沙汰だと思う。
「僕も気楽に幽霊でも研究して見たいが、――どうも毎日芝から小石川の奥まで帰るのだから研究は愚か、自分が幽霊になりそうなくらいさ、考えると心細くなってしまう」
「そうだったね、つい忘れていた。どうだい新世帯の味は。一戸を構えると自から主人らしい心持がするかね」と津田君は幽霊を研究するだけあって心理作用に立ち入った質問をする。
「あんまり主人らしい心持もしないさ。やっぱり下宿の方が気楽でいいようだ。あれでも万事整頓していたら旦那の心持と云う特別な心持になれるかも知れんが、何しろ真鍮の薬缶で湯を沸かしたり、ブリッキの金盥で顔を洗ってる内は主人らしくないからな」と実際のところを白状する。
「それでも主人さ。これが俺のうちだと思えば何となく愉快だろう。所有と云う事と愛惜という事は大抵の場合において伴なうのが原則だから」