Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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びわでん

琵琶伝

泉 鏡花

Leggi 琵琶伝 (びわでん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.081 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

当所もなく室の一方を見詰めたるまま、黙然として物思えり。渠が書斎の椽前には、一個数寄を尽したる鳥籠を懸けたる中に、一羽の純白なる鸚鵡あり、餌を啄むにも飽きたりけむ、もの淋しげに謙三郎の後姿を見遣りつつ、頭を左右に傾けおれり。一室寂たることしばしなりし、謙三郎はその清秀なる面に鸚鵡を見向きて、太く物案ずる状なりしが、憂うるごとく、危むごとく、はた人に憚ることあるもののごとく、「琵琶。」と一声、鸚鵡を呼べり。琵琶とは蓋し鸚鵡の名ならむ。低く口笛を鳴すとひとしく、

「ツウチャン、ツウチャン。」

と叫べる声、奥深きこの書斎を徹して、一種の音調打響くに、謙三郎は愁然として、思わず涙を催しぬ。

琵琶は年久しく清川の家に養われつ。お通と渠が従兄なる謙三郎との間に処して、巧みにその情交を暖めたりき。他なし、お通がこの家の愛娘として、室を隔てながら家を整したりし頃、いまだ近藤に嫁がざりし以前には、謙三郎の用ありて、お通に見えんと欲することあるごとに、今しも渠がなしたるごとく、籠の中なる琵琶を呼びて、しかく口笛を鳴すとともに、琵琶が玲瓏たる声をもて、「ツウチャン、ツウチャン。