Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
坂のはずれからすぐ見える空は、すぐ坂に続いているようで、そこに浮ぶしら雲やにび色の雲は空の愁いに堪え兼ねて、空の膚から滲み出て、また滲み入って消える切ない汗の光りのようにも見遣られました。この庭の魂は、こゝの庭を作った人の魂は、却ってこの坂径に在るのではありますまいか。わたくしは濶達で派手な庭の中心よりこの部分を一層好きになりました。
それゆえに、わたくしは池上が朝飯の卓を庭のどこに据えようと訊ねましたときに、
「あちら――」
と、その庭の部分を指しました。
「あんな庭のはずれ、よそうよ」
池上はそう言って、それから、くどくわたくしを説服しまして、庭全体が見晴せる下手の池の中之島に場所を定めることにわたくしを同意させました。
これは本式の中之島で苔蒸した踏石の嵌め込まれた池の渚が寮の家の前から曲りくねって行って、その先きが章魚の嘴のように突き出ているその尖から一枚石の板橋がこの中之島に架かっています。中之島にも三がい松があります。そしてこの中之島と彼岸の渚とはたいして水を距てゝいず、三がい松の影は島を覆うていますので、わたくしは寮の縁側から見て、初めしばらくは、これが島なのを知らず、池はたぶん、地中の桟道によって区劃られ、大小二つの水溜りになっているのだろうと思っていたくらいでした。