Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
反対側にひねこびて煩わしく空に枝を撓み張った柿の木が三四本一せいに若芽をつけています。戸外の作事場なのでしょうか、まるで滑石のようにてら/\光る堅い土面の上を歩んで行きますと、屋根に養蚕の天井窓のある藁家がありました。勝手を知った葛岡は台所の土間口らしい入口から帽子を脱いで入って行きました。わたくしは今にも先生のなつかしくも奥底の知れない顔が家のどこかから現れ出て、妙な表情をするに違いないと心臓の鼓動を高めながら待受けましたけれども、入って行った葛岡さえなか/\出て来ません。
わたくしは探るともなくこの家の様子を眺めますと、田舎慣れないわたくしの眼にも異様に感ぜられるものがありました。家は此方から見て、楓が木を椽先に控えた座敷と、その次の炉ノ間らしい座敷と、二つ、いずれも障子が締っていて中は見えませんものゝ、これだけが母家の態とはどうしても受取られませんでした。というのは、家の竪柱にしても土台の礎材にしても建物に較べると釣合わないほど立派な太い材木が用いてありまして、その古びさ加減からいっても余程の旧家のものらしいのです。この家の奥にはなおいくらかの部屋はありましょうけれども、正面がこの態の表附とすれば差程大きな家とは思われません。