Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
しまという女中とコロという赤砂糖色の猫が一匹いました。
母は眼は少し窪んでいましたが瓜実顔に肉附きのよい美人で、その当時はやりの花月巻というのを結って黒襟の小紋縮緬の袷でも着たら品もあり仇っぽくもあり、誰でもみな顧りました。父というのがとき/″\来て泊って行きました。わたくしはどちらかというと母をあまり好きませんでした。剥いでも剥いでも本心の判らない、それでいてその場限りで利の行く方に就くという軽薄な愚かさがありました。それに引かえ父というのは、何か思い入ると大きい黒い瞳がじっと凝って来て、間違ったことは許さぬという代りに相手を庇えばどこまでも庇い切る一徹さを備えた人でした。髪の毛も髭も濃く縮れて高い額は蒼白うございました。とき/″\母は打たれて泣真似をしました。
「先生は、肺病で気狂筋と来てるんだから始末が悪いよ」
母はこう言って、しまと眼顔で冷笑し合いました。しまの言うところに依ると父は大変な学者で大学の先生もしている。母は下谷の雛妓だった時分に父に見染められて、それからずっと囲われている。父は母の美人を愛してはいるが、母の諂曲の性質が嫌いでそれで打つ。