Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate

Aozora Bunko

この献額は私たち江戸派の俳人に取ってかなり重要な企てだった。わたしはやり切れない気持を押えて揮毫を続けねばならない。それでもわたしは、この額を書き上げたときこそ、わたしがこの世の終り、身の終り、その代りわたしがこの世で心から得たいと望んで来た唯一のものを得られるのだと心に言い聞かして揮毫に取りかかろうとした。だが、心というものはそう言い聞かされたくらいで一念に集中するものではない。心は筆から逸れて、とかくにおまえに向って焦立つ。仕方がないから薬嫌いのわたしが、ふだん医者から貰ってある持病の胃痙攣止めの麻痺薬を四五日間は飲み続けることにした。その薬を飲み、薬の作用が現れ出し、わたしを何もかもを一念に似る揺蕩とした薬効の世界へ融し漂わして呉れる気分に乗じてきょうやっとわたしは揮毫し始めた。そのとき忙しいおまえが思いもかけず庵へ尋ねて来たのだ。わたしはおまえの声を聞いただけでもう苔松に花桔梗の根締めを添えたように和められ、脆くなってしまっている自分に向って不覚にも憐れみを施す涙が零れた。秋雄がわたしの状態の粗筋を病歴のようにおまえに話し聴かして呉れたのち、わたしはいよ/\おまえに会って話を切り出した。