Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいぜんしんごのこと

生前身後の事

中里 介山

Leggi 生前身後の事 (せいぜんしんごのこと) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.804 caratteri · 83 schermate

Aozora Bunko

小生も本年数え年五十になった、少年時代には四十五十といえばもうとてもおじいさんのように思われたが、自分が経来って見るとその時分の子供心と大した変らない、ちっとも年をとった気にはなれない、故人の詩などを見ると四十五十になってそろそろ悲観しかけた調子が随分現われて来るけれども、余はちっとも自分では老いたりという気がしないのみならず、それからそれへと仕事が出て来てどうしてどうしてこれからが本当の仕事ではないか、と、思われる事ばかりだ、瘠我慢にいうのではない、自分は五十になって老いたりという気がしないのみか若いという気もしない、子供の時と特別に変ったようにも思われない、今の自分としては殆んど年齢を超越してしまっている。

これは一つは自分が未だ嘗て家庭というものを持たず、自分の肉体の分身に対する愛情という経験が無いというのも一つの理由であるかもしれない、何れにしても自分はまだ死に直面しているという気分は毛頭ないけれども、ここに五十になった紀念の意味で少々死後のことを書いて置いて万々一の用心にし、心のこりを少しでも少なくして置きたいものと思う