Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Leggi 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 91.598 caratteri · 182 schermate

Aozora Bunko

名に負う飛騨の大森林である。杉や樫や桧や、楢や落葉松というような、喬木が鬱々蒼々と繁って、日の光など通そうとはしない。そうかと思うと茨だの、櫨だの、躑躅だの、もちだのというような、灌木の叢が丘のように、地上へこんもりと生えていて、土の色をさえ見せようとしていない。で、ほとんど黄昏のように、森林の中は暗く寂しく、物恐ろしくさえ眺められた。

そういう森林に音響の線が、太く素早く走って行く。

四里ぐらいの道程は瞬間に、行きついてしまうに相違ない。すると丹生川平から、鉄砲や弓や山刀や槍の、武器をたずさえた郷民達が、大勢大挙して現われ出て、大森林を押し通って、曠野の面へ現われて、弦四郎を助けて宮川茅野雄を、おっ取り囲んで討ち取るであろう。

とまれ大危険を警報する、調子を持った木を叩く音が、次第次第に、丹生川平の方へ伝わって行く。

が、もし人が曠野の一所の丘――すなわち醍醐弦四郎や丹生川平の男達が、現われて来た例の丘の、背後へ行って眺めたならば、小枝の侍女達三人が、丹生川平の男達の掠奪の手から遁れたところの、侍女達三人が転んだり起きたり、走ったり仆れたり泣いたり叫んだりして、丹生川平の男達に、小枝が奪われたという知らせを、白河戸郷へ知らせようものと、一里の道程を命がけに、走って行く姿を見たことであろう。