Classici giapponesi con furigana
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たはらしのはんざい
田原氏の犯罪
豊島 与志雄
Leggi 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.957 caratteri · 57 schermate
「さあもういいから行って事務をとってくれ給え。」と田原さんは云った。
原口は丁寧にお辞儀をしてさっさと出て行った。広田は室を出る時に一度ちらとふり返って田原さんの方を盗み見た。田原さんはそれを見落さなかった。
その晩、田原さんは俥に乗って広田の飯田町の住居を訪れた。髪を櫛巻にした細君が出て来て、その突然の来訪におどおどしていた。
「急な内談があるので、」と云って田原さんは座敷に通って広田の帰りを待った。
四人の子供があって末の児が病中である家の中に、下女一人の細君はただまごまごしていた。それが田原さんにもよく分った。
襖の影から男の児が二人指をくわえながら、交る代る田原さんの方を覗いた。
九時すぎに広田は家に帰って来た。彼は着物も更めないでそのまま田原さんの所へ来て、頭を畳にすりつけん許りにしてお辞儀をした。
「子供が病気だそうだね。」
「はい。」と広田はただ答えたきり首垂れてしまった。顔色が青ざめていた。
暫く沈黙が続いた後に、田原さんは云い出した。
「僕が突然やって来たわけは君に分っているだろうね。」
「はい。」と広田はまた低く答えた。
「僕は過ぎ去ったことは敢て咎めようとするのではない。