Classici giapponesi con furigana
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いなかもの
田舎者
豊島 与志雄
Leggi 田舎者 (いなかもの) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.181 caratteri · 26 schermate
「ドラ鈴」がこのマダムのパトロンかどうかということが、四五人の常連の間に問題となっていた時、岸本啓介はそうでないということを――彼にしてみれば立証するつもりで――饒舌ってしまった。第一、みんなが、たとい酔っていたとは云え、さも重大事件かなんぞのように、夢中になって論じあってるのが滑稽だった。――「ドラ鈴」はめったに姿をみせることはなかったが、たまにやって来る時には、いつも酒気を帯びている。そのことが結局、ふだん白面の時には、マダムがどんな客にも一歩もふみ込ませないほど堅守してる裏口から、こっそり忍びこむことを証明するわけで、また、誰もそうした「ドラ鈴」の姿を一度も見かけたことがないのが、逆に、彼が用心深くそういうことをしてる証拠になるし、或は、マダムの方から出かけていってどこかで逢っている証拠になる、というのであった。二人のそうした関係は、人中でのその様子を見ればすぐに分る、というのだった。「ドラ鈴」は扉を押して一歩ふみこむと、そこに一寸足をとめて、自分の家だと云わんばかりの落付いた微笑を浮べ、室の中をじろりと見渡し、奥でも手前でも隅っこでも、どこということなしに、空いている席を物色して、そこへつかつかと腰を下しに行くのである。