Classici giapponesi con furigana
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ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
Leggi 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.494 caratteri · 67 schermate
菊、しかと左様か」
「はい」
「それに相違ないか」と、播磨は念を押した。
「はい」
二度目の返事が切れないうちに、お菊はもう板縁の上に捻じ伏せられて、播磨の手はその襟髪を強く掴んでいた。
「おのれ、それ程までにして我が心を試そうとは、あまりといえば憎い奴」
男の魂は憤怒に焼け爛れたらしく、彼は声も身も顫わせて罵った。天下の旗本青山播磨が恋には主家来の隔てなく、召仕のおのれといい交して日本中の花と見るは我が宿の菊一輪と固く心に誓っていた。自分は律儀一方の三河武士である。唯一筋に思いつめたが最後白柄組の付合にも吉原へは一度も足踏みをしたことがない。丹前風呂でも女の杯は手にとったことがない。それほどに堅い義理を守っているのが、嘘や詐りで出来る事と思うか。積って見ても知れる筈であるのに、何が不足でこの播磨を疑ったと、彼は物狂わしいほどに哮り立って、力任せに孱弱い女を引摺り廻してむごたらしく責めさいなんだ。女の白い頬は板縁にこすり付けられた。
今夜は客来があるというので、お菊は新しい晴れ衣を着ていた。それは自分の名にちなんだ菊の花を、薄紫地へ白に黄に大きく染め出した振袖であったが、その袖も袂も男の強い力に掴みひしがれて、美しい菊の花もくだくるばかりに揉み苦茶になった。