Classici giapponesi con furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Leggi 痴人の愛 (ちじんのあい) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 179.399 caratteri · 353 schermate
「あの大久保の別荘ですか?」
「あなたの借りていらしった、植木屋の離れ座敷ですよ」
「ふうむ、………」
と云ったなり、まるで息でも詰まったようにしんと沈んでしまった私は、
「ふうむ、そうか、実際驚きましたなあ」
と、やっと呻るような声を出しました。
「だからあの時分、恐らく一番迷惑したのは植木屋のかみさんだったでしょうよ。熊谷の義理があるもんだから、出てくれろとも云う訳に行かず、そうかと云って自分の家が一種の魔窟になってしまって、いろんな男がしっきりなしに出入りするんで、近所隣りには体裁が悪いし、それに万一、あなたに知れたら大変だと思うもんだから、ハラハラしていたようでしたよ」
「ははあ、成る程、そう云われりゃあ、いつだか僕がナオミのことを尋ねると、かみさんがひどく面喰って、オドオドしていたようでしたが、そう云う訳があったんですか。大森の家は君の密会所にされるし、植木屋の離れは魔窟になるし、それを知らずにいたなんて、イヤハヤどうも、散々な目に遭ってたんだな」
「あ、河合さん、大森のことは云いッこなし! それを云われると詫まります」
「あはははは、なあにいいですよ、もう何もかも一切過去の出来事だから、差支えないじゃありませんか。