Classici giapponesi con furigana
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とざんのあさ
登山の朝
辻村 伊助
Leggi 登山の朝 (とざんのあさ) di 辻村 伊助 (つじむらいすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5521 caratteri · 11 schermate
が無理もない、気の弱いものならびっくりして、クーロアールからまっさかさにころがり落ちたに相違ない、その時の近藤君の顔ときたら、友だちながらすっかり愛想がつきた、雪焼けで鼻の頭がまっ赤にただれて、ところどころは皮がむけて下の正味が顔を出しているその上に、塗った塗った監獄の塀だってああきたなくは塗らない、一面に雪焼けのおまじないに、グレッチェル・クレームをなすりつけて、それが下手な鏝細工みたいに、桃色のまだらになってるからたまらない、なんだい君の顔は!
どうしたんだい、君の顔は! 冗談じゃない!
二人の声でふりむいたガイドは、声を合わせてウァッハッハと笑った、私たちもたまらなくなってウァッハッハと笑った、ウァッハッハはクーロアールに反響して、ゴーンと陰気にこだまをかえす、と、エコーにつれて、夏の短か夜はしらじらと明けかかる、もう午前五時であった。なだらかなフィルンはもういつのまにか足元になった。
もうフィンシュテラールホルンはシュトラールエックの尾根の上に、錐みたいにそびえていて、そしてその左に落とすアウトラインが、薄紅く光りだした、と思うとほとんど同時に、オックスや、そのアレトのうしろに、頭だけ見えるグリューンホルンにも、さっと朝日が反射した。