Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はくじつむ

白日夢

豊島 与志雄

Leggi 白日夢 (はくじつむ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.672 caratteri · 23 schermate

Aozora Bunko

が実際の所、妻が云う通りに、往来から板塀で仕切られてる六七坪の庭が、何だか妙に窮屈だったし、それから殊に、隣りの家と棟続き壁一重越しに、全く同じ形に建てられてるのが、余りいい気持ではなかった。と云って、うっかり妻の言葉に賛成でもしようものなら、こんなちっぽけな借家住居をしなければならない自分の無能さを、改めて証拠立てることになるので、私はわざと空嘯いて、足ることを知る者は富めり、なんかと、自ら自分に云いきかしてやった。

そして私はいつしか、不満の点を忘れるともなく頭の外に逐い払って、毎日の勤めに出かけた。妻も其後、家に就ての不満を口にしなかった。そして私達の心は、また生活は、次第に新居へ馴染み落付いていった。

所が、越してきて二週間ばかりたった頃、或る晩、妻は妙なことを云い出した。

「この家は何だか変な家ですよ。門の開いた音がするから出て行ってみると、誰もいないじゃありませんか。そんなことが何度もあったんです。」

まさか……と思って私は、女中にも尋ねてみたが、やはりその通りだと云うばかりでなく、実は女中の方がそれに多く出逢ったのだった。

そんな馬鹿なことがあるものか、とは思ったが、現に二人も証人があってみれば、私がいくら否定しても無駄だった。