Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はくもくれん

白木蓮

豊島 与志雄

Leggi 白木蓮 (はくもくれん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.039 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

「あれ、喜美ちゃんが持って来たの?」と私は尋ねた。

喜美子はもう泣きやんでいて、すがすがしい感じの頷き方をした。

「あの花、たいへん好きだったわ。だから、あたし、活けてあげたの。前にも、なんども持ってきたわ。」

それは私も知っている。――加津美の狭い庭に、分不相応とも言えるほど大きな木蓮の木がある。板塀より高く、低い植込みの上に、すくすくと伸びあがり、枝を拡げていて、春先には、真白な大輪の花を一面につけ、あたりに芳香をまき散らす。その花を、喜美子は桃代に持ってってやった。私も二度ばかり、花の小枝を折り取る役目をさせられた。だがこの花、活けるには厄介な枝ぶりで、桃代と喜美子はそのためにずいぶん時間をかけた。

「ご免なさい。お待たせして……。でも、あれ、活けるのに面倒よ。」

一人で待ちくたぶれて、そして飲んでいると、桃代は上気した顔でやって来て、二階の座敷のすぐ前面に馥郁と咲き匂ってる木蓮の方へ、私の方へではなく、笑顔を向けるのだった。

彼女の家に、私は行ったことがない。なぜなら、私は彼女の旦那ではなく、そして彼女には、めったに来ないがとにかく旦那と名のつく人がいた。