Classici giapponesi con furigana
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しらぎく
白菊
夢野 久作
Leggi 白菊 (しらぎく) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.486 caratteri · 25 schermate
魘えたゴリラのように身構えをし直して、少女の顔を振り返った。
……この深夜に……開放された部屋の中で……タッタ一人眠っている西洋人の娘……。
……物騒な北海道の山の中で、可愛い娘にコンナ事をさせている毛唐の大富豪……。
……これは人間の心か……。
……神様の心か……。
そんなような超常識的な常識……犯罪者特有の低能な、ヒネクレた理智が、一時に彼の中に蘇ったのであった。白熱化した彼の慾情をみるみる氷点下に冷却し初めたのであった。云い知れぬ恐怖の旋風となって、彼の足の下から襲いかかったのであった。
……俺は……俺は現在、何かしらスバラシイ陥穽の中に誘い込まれているのじゃないか……。
……コンナ大邸宅の中にタッタ一つ灯されている赤い灯……。
……締りのない扉……。
……数限りない人形の部屋……。
……その中にタッタ一人眠っている生きた人形のような美しい少女……。
……思いも付かない、おそろしい西洋人の係蹄……???……。
彼の膝頭が我れ知らずガクガクと動いた。歯の根がカチカチと鳴り出した。ジリジリと後退りをしながら、薄い黄絹のカアテンを、腫れ物に触るようにして潜り出た。