Classici giapponesi con furigana
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しろが
白蛾
豊島 与志雄
Leggi 白蛾 (しろが) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.700 caratteri · 22 schermate
酔った岸本が記憶しています限りでは、彼女は殆んど性的衝動を示さず、何等の積極的態度にも出ませんでした。それと共に、全く羞恥の念もないかのようでした。謂わば、娼婦からその閨房の技巧を全く取り去ったような工合に、真白な体を彼に委ねました。或は彼女は酔いつぶれていたのでしょうか。
岸本がふと眼をさますと、彼女は背を向けて寝ていました。蚊帳越しの淡い光りに、彼はじっと、彼女の頸から肩のあたりの白い肉体を眺めました。カールを外巻きにした黒髪から、寝間着の襟のずり落ちてるところまで、その裸の肉体は、骨は軟骨でもあろうかと思われるまでに、ただ滑らかな曲線と凹凸を画いて、自然の重みに放置されていました。薄い細やかな皮膚がその肉附に融けこんで、餅の表面をでも見る感じでした。それはもう、彼女小泉美津枝のものではなく、ましてや彼岸本省平のものでもなく、なにか人間から離れた物質でした。それが、彼にとって何の関係がありましょう。先刻彼がかき抱いた彼女と、何の関係がありましょう。新奇な遠い物質で、それが白く温く柔かなだけに却って不気味でもありました。
岸本はなにか蠱毒された心地で、すっかり眼をさましてしまいました。