Classici giapponesi con furigana
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ひゃくしんのふ
百唇の譜
野村 胡堂
Leggi 百唇の譜 (ひゃくしんのふ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.209 caratteri · 25 schermate
「いえ、違う。違う」
「いや違わぬ、俺の目鏡に曇りはない、お前は本当に昔の真弓なら、この千代之助が忘れられないばかりに、髪を剃り落して此処に居るに相違はない、俺は百人の女を弄んだ、他の事は一切解らない人間だが、女の心持だけは、掌を指すように解る積りだ」
「…………」千代之助は手負に屈せず、よろめき乍らも美しい尼姿の真弓へ抱き附こうとします。
「さア、来いよ真弓、俺は生れてから一度も同じ女を振り返った事は無いが、今度という今度は妙にお前に心が牽かれる。幸い傷は浅い、二人一緒に暮してどんな事があっても一生離れないよう――」
血だらけになった千代之助は、執念深く真弓を追い廻して、御仏の御姿までが、斑々たる血潮の汚れに染む有様、その凄まじさは云いようもありません。
「悪魔、悪魔、寄ってはいけない。百人の唇を集める為に、お前はどれほど深い罪を重ねたか解るまい、そんな大それた事を神様も仏様もお許しになる筈は無い――退け、退け、汚らわしい」
「いや、百人の唇は、たしかに集って『百唇の譜』は見事に出来上ったぞ。百人目に血潮で唇を捺したお前は、一生俺とつれ添うのも約束事だ」