Classici giapponesi con furigana
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まゆかくしのれい
眉かくしの霊
泉 鏡花
Leggi 眉かくしの霊 (まゆかくしのれい) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.284 caratteri · 51 schermate
そこにもう一枚扉があって閉まっていた。その裡が湯どのらしい。
「半作事だと言うから、まだ電燈が点かないのだろう。おお、二つ巴の紋だな。大星だか由良之助だかで、鼻を衝く、鬱陶しい巴の紋も、ここへ来ると、木曾殿の寵愛を思い出させるから奥床しい。」
と帯を解きかけると、ちゃぶり――という――人が居て湯を使う気勢がする。この時、洗面所の水の音がハタとやんだ。
境はためらった。
が、いつでもかまわぬ。……他が済んで、湯のあいた時を知らせてもらいたいと言っておいたのである。誰も入ってはいまい。とにかくと、解きかけた帯を挟んで、ずッと寄って、その提灯の上から、扉にひったりと頬をつけて伺うと、袖のあたりに、すうーと暗くなる、蝋燭が、またぽうと明くなる。影が痣になって、巴が一つ片頬に映るように陰気に沁み込む、と思うと、ばちゃり……内端に湯が動いた。何の隙間からか、ぷんと梅の香を、ぬくもりで溶かしたような白粉の香がする。
「婦人だ」
何しろ、この明りでは、男客にしろ、一所に入ると、暗くて肩も手も跨ぎかねまい。乳に打着かりかねまい。で、ばたばたと草履を突っ掛けたまま引き返した。