Classici giapponesi con furigana
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いしころみち
石ころ路
田畑 修一郎
Leggi 石ころ路 (いしころみち) di 田畑 修一郎 (たばたしゅういちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.254 caratteri · 39 schermate
よく働く。僕が来たばかりの晩、僕の部屋は家の一等端の広い土間で母屋と区別されているのだが、そこの土間へぬっと入ってきて黙ってお茶の入った薬罐をつきだしてくれた。頭を風呂敷のような布れで包んで首の後でしばり、眼のありかがわからないくらいに細くなっている。笑っているのか、もともとそういう顔なのかわからない。この家には震災のとき死んだアナアキストの甥だか姪だかにあたる白痴がいると聞いたので、それかと思った。だが正代という娘はそうではなかった。この家にはだいぶ老牛だという種牛が一頭いる。そいつを自由にできるのはこの十六になる娘だけだった。ほかの誰が近づいても危い。血走ったぐりぐりする眼で草を喰んでいるが、人が近づくと遠くの方からちゃんと知っていて、だんだん頭を地面に下げる。うっかりすると、角を持ち上げてぬっと迫ってくる。そいつは肩から首から、とても巨かくて、牛というよりは猛獣に近い。正代は平気でそいつの鼻面をつかまえる。時々近所の人が牝牛をひいてカケてもらいに来るが、それはみな正代の役目だ。この娘はだんだん僕に慣れて、散歩のときなんかに会うと笑ってみせる。