Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

Leggi 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.803 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

で、一式小一郎は、扉の方へ走って行った。水が股までついている。足を取られてヨロヨロする。扉を押したが揺るごうともしない。

「どこかにないか! どこかに出口は!」

で、一方の岩壁へ走った。叩いたが岩壁は動かない。ツルツルしていて足がかりもない。

もう一方の岩壁へ走って行った。やはり叩いたが動かない。もう一方の岩壁へ走って行った。やっぱり駄目だ。打っても叩いても、岩壁は微動さえしなかった。

どっちの壁を叩いても、微塵動こうとはしないのである。そうしてどの壁も垂直であり、手もかからなければ足もかからないで、岩壁をよじ上り、窓まで行くことも出来なかった。

ザ――ッ、ザ――ッと水が落ちる。見る見るその水が量を増す。腰までついた。腹までついた。ととうとう胸までついた。

間もなく首までつくだろう、すぐに顎までつくだろう。そうして口までつくだろう。鼻までついたら最後である。

岩壁へもたれた小一郎は、「無念! 駄目だ! 俺は死ぬ! あッあッあッ、溺死する! ……桔梗様アーッ」と呼ばわった。

「そうだ桔梗様はどうしているだろう? 恐ろしい恐ろしいその館、ここに囚われている限りは、ロクな目に逢ってはおられまい! 命のほども危ぶまれる! 助けなければならない、助けなければならない! 桔梗様アーッ」